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角田光代:対岸の彼女

2012.10.18.Thu.00:25
対岸の彼女

どうも松本大洋好きの選ぶ好きな作品、ペコブロペコリナスです。
今日は小説を紹介いたします。前回、八日目の蝉を紹介しましたが、引き続き角田光代さんの小説「対岸の彼女」です。八日目の蝉と並んで私の好きな小説ベスト3には必ず入る傑作です。いやあ、角田光代さんは凄すぎる!

 簡単に説明すると夫との仲がうまくいかない主婦「田村小夜子」と、30代ワンマン独身女社長「楢橋葵」の二人の大人の友情の話です。大人になると本当に心がつながった友達ってなんでできなくなるんでしょうね。大人になっても友情って作れるのか? そんなテーマを描いた物語です。以下に内容を書きますが、結構ネタばれも書くので、これから読みたいという方は注意してください。

 この物語の半分は楢橋葵の高校時代のエピソードが描かれています。現在のサバサバした女社長とはまったく違い、周りに流されやすい感じの控えめな10代の女の子として描かれています。そこに登場するのが、「野口魚子」という同級生の少女です。彼女は恵まれない家庭環境で学校では孤立していますが、葵は彼女に魅かれ、しだいに特別な存在になっていきます。葵と魚子は共にアルバイトをし、家出をし、ついには二人で死のうとするくらいの強い絆で結ばれた親友となりました。 それなのに、二人は結局疎遠になってしまうのです。 なぜ、こんなにも深い関係になった二人が疎遠にならなければならないのか。 葵は大人になり、女社長として会社を経営する立場になりました。そんな葵に出会ったのが夫に反対されながらも仕事を探しに来た田村小夜子です。小夜子は葵に友情を感じ始めていましたが、自分を軽視するかのような自己中心的な振る舞いに不信を抱くようになります。 この人には友情なんて最初から縁がないのではないか。結局は大人の友情なんてありえないのではないか。しかし、ある日小夜子は葵の心の奥にある"しこり"を発見するのです。かつて共に死のうとしたほどの絆でつながっていたのに、疎遠となってしまった魚子の存在を小夜子は知るのです。 葵は信じていたのでした。魚子と過ごしたような友情は今だってきっと築くことはできることを。 彼女はその希望にずっとしがみついて生きてきたのでした。

 内容を説明するのが長くなってしまいました。書きながら泣きそうになりますね。最後、小夜子は葵と魚子がなぜ連絡を取らなくなってしまったのかという答えを悟りました。それは「怖かった」からです。かつてあんなにも一緒に笑ったり泣いたりした親友が、自分の知らないところでまた違った人生を送っているという事実に直面してしまうのが「怖かった」からなんです。私はこの最後の小夜子の悟りのシーンで頭を殴られたような衝撃を感じました。自分も全く同じことを感じていたからなんです。高校時代の友達となぜ連絡するのに勇気がいるんだろう。あんなに仲が良かったのに。その答えをこの小説「対岸の彼女」は教えてくれました。 もう涙が止まりませんでした。読み終わった後3日くらい考え込んでしまいましたよ。そのくらい衝撃的な作品でした。最後、高校生の魚子が葵に向けて書いた何気ない日常の手紙が出てきます。別にお別れの手紙でもなんでもないただの手紙。また次の日会えるのが当たり前だと思っていたあの日が、どんなに素晴らしい日だったのか。 「ハロー、アオちん。」の冒頭がなぜこんなにも泣けるのか。もうあの日は戻ってこないんですね…。


 八日目の蝉といい、対岸の彼女といい、なんで角田光代さんはこんなにもリアルな話が書けるのか。 やっぱり凄すぎる。





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